秩父鉄道に線路に沿って歩いていましたら、この少林寺が見えました。

「秩父観音霊場札所十五番少林禅寺」となっていまして、禅寺だったのですね、少林寺。

白いしっくいの壁から禅寺というイメージがなかったのです。現代風というのか、モダン建物というのか。

侘び寂びが禅寺というイメージだったのです。


牡丹の花と白しっくいがきれいなお寺

秩父鉄道の線路脇を通っていますと、この白いしっくいの土蔵作りのお寺が見えてきます。その前にお墓もあるので、お寺だとわかります。

遠くから見ても特徴的です。白ですし、土蔵作りの建物ですから。

この漆喰の壁は、秩父大火の教訓から防火のためになされたようなのですね。

お寺と火事はつきもので、お寺の歴史を読んでいると、とかく火事で焼失して再建されたという話が多いものです。


お寺の本堂の前が表参道になっていて、こちらは脇から入っています。

私が少林寺に行ったのは、牡丹の花が終わりかけていた頃です。

牡丹の花は思ったよりも咲いている期間が短いようです。

満開の頃に行ったなら、見事な花が見られたことでしょう。

少林寺は他にも、青紅葉があったので、秋に訪問しても良さそうです。


見頃を過ぎたとはいえ、観音様と、白の漆喰の壁、そして牡丹の花はきれいです。

ほかには、ヤマツツジでしょうか。



本堂は、けっこうモダンな作りです。

漆喰の壁は思ったよりも汚れないそうなのですよね。きれいな状態をキープできるそうです。

木造に比べたら格段に耐火性に優れているのです。

それで漆喰を選んだのでしょう。

額に書かれた「五葉聖臺」とはどういう意味なのでしょうね。山号でもないですね。

調べてみたら、そもそも少林寺は別の場所にあって、山号が五葉山だったそうです。

五葉山少林寺ということです。



秩父鉄道の線路から入ってくる表参道からの道と、私が入ってきた脇からの道がクロスしています。

前に見える大きな木は枝垂れ桜でしょうか。

 



奥に見える神社のような祠は、地蔵菩薩をお祀りしている地蔵堂です。

手前の白いしっくいのお堂は、秩父半僧坊大権現です。後で調べてみたら鎌倉の建長寺のご分霊だそうです。

半僧坊の信仰は、明治時代の方広寺の山火事で延焼を免れたことから半僧坊大権現のお力に頼るとして信仰されてきたそうです。

秩父大火があったから、こちらに分霊されたのでしょうか。

奥に見える地蔵堂は、子育てのご利益で、お参りする人が多いのだとか。

地蔵堂の裏手にはお墓もあります。

秩父事件で殉職した警官が眠る墓も少林寺には存在するそうですが、さすがにお墓のほうに行っていません。

 



こちらの半僧坊大権現と地蔵堂のほうから本堂を写してみました。

境内はそれほど広くないことがわかるかと思います。

秩父大火ではよほど懲りたのでしょうね。これだけの白いしっくいです。

 



ここの少林寺の御詠歌には、「みどり子のははその森の蔵福寺ちちもろともにちかひもらすな」とあります。

ははその森、というのは秩父神社の森を指すそうです。

秩父の札所15番は、秩父神社の境内にあった母巣山蔵福寺だったそうです。

「ははその森の蔵福寺」はその意味ですね。

神仏分離で、秩父神社の蔵福寺は廃寺に一度なっているとのこと。

その蔵福寺の後を継いだのがこの少林寺になります。

「母巣山」を引き継いだということですね。

そもそも山号、五葉山から今の場所に移ってきて蔵福寺を引き継いで「母巣山」と名乗ったという折衷案みたいなものですね。

五葉山少林寺と母巣山蔵福寺の山号と寺名をクロスさせたようなものです。

しかし五葉山という山号の額ではなく、「五葉聖臺」となっていますね。

ちなみに、蔵福寺にあった薬師堂は、札所3番の常泉寺に引き継がれているそうです。



先ほどから秩父鉄道の線路から近い表参道と言っていますが、こちらの写真をみればわかるかと思います。

山門を出たら、すぐに線路というような場所なのです。

ただし、駅からは少し離れています。どちらかというと秩父駅のほうが近いかな。



もう一度、本堂から納経所方面を写真に。

これをみれば、牡丹だけでなく、紅葉もきれいなお寺だとわかります。

観音様の像もあって写真映えします。ただし、本堂の中の十一面観音は御開帳ではないので、見ることはできません。



おそらく枝垂れ桜だと思うのですが、かなり見事ですね。

半僧坊大権現と地蔵堂の上に覆いかぶさるようにしてあるので、3月ころは写真に映えそうです。

牡丹の花も終わりかけですが、いろんな色の花があります。



こちらが本堂に向かって左手にある納経所です。

広くない境内ですので、場所はすぐにわかります。




納経を終えてお寺から出る時は、表参道のほうを使ってみました。

このように階段になって上がっていきます。

どちらかというと紅葉のほうが目立ちますね。



山門を上がるところの寺標には、「五葉山少林禅寺」となっていました。

この山門前に秩父事件の殉職警官の墓所があります。

その隣は道しるべです。ここは札所十五番少林寺前となっていて、右に行けば札所十三番慈眼寺、左に行けば秩父神社と書いてあります。



線路からの近さがわかるように写真を撮りました。

これが秩父鉄道の線路です。

秩父鉄道は、少林寺のあたりは、住宅地の中を通っていたのですね。



線路からまっすぐ歩いていくと、「江戸巡礼古道」の道しるべが見えてきました。

そのそばには新しいお寺の石碑が立っていました。他のお寺の石碑に比べたらかなり新しく感じたのですが、それでも昭和五十年三月となっています。脇には、秩父札所十五番と書いてありました。

 


【追記】
秋になってから、そばを通った時に写した通り側からみた写真です。

秩父鉄道の線路の向こう側に少林寺が見えます。
通りからも近いです。

再訪時に、少林寺では、ダルマを売っていることがわかりました。

これは飾り用で置いているみたいでした。

ついでに。

ヤオコー近くにあった、少林寺の旧跡地に立ち寄りました。

跡地は、現在、墓地として使っているようでした。

さらについでに。

札所15番から16番に向かう途中で、秩父ふるさと館に立ち寄りました。

古民家を利用していました

変わった屋根がお隣に。

ここで音楽寺て見たコピーの本がありました。

秩父札所となっていて、中身は各寺院の墨絵のようでした。